今回は「共有持分が競売に?入札されるの?」のお話です。
不動産を債権者(金融機関等)から差押えられて競売を申し立てられた方からのご相談を多く頂きます。
ご相談内容で「自宅(不動産)の共有持分を差押え(仮差押え)られた」という方がいます。
ご相談者のなかには
「持分だけなら競売で入札される事はないでしょ?」
「裁判所(執行官)が持分だけでは入札する事はないかもしれないと言っていた」
というお考えの方もいます。
確かに不動産の共有持分だけを入札する者は少ないかもしれませんが、不動産の所在地・状況・価値等によっては好んで入札する者もいます。
【不動産の共有持分を落札される?どうなる?】
不動産の共有持分を落札されると非常に厄介なことになります。
例えば、不動産の価値が3,000万円だとします。
所有権の全てを取得すれば上記の価値になりますが、共有名義2分の1を取得した場合は単純に1,500万円という事はありません。
仮に1,500万円の6割の900万円で落札したとします。
この落札者はもう一人の共有名義2分の1の所有者に落札した共有名義2分の1の購入を打診します。もちろん、購入を打診する価格は落札額900万円以上です。
これで購入を断られたら共有名義2分の1を売却するよう求めます。もちろん1,500万円以下です。
仮に、残りの共有名義2分の1を落札者が1,300万円で取得したとしたら900万円と1,300万円を足して2,200万円で市場価格3,000万円の不動産を取得したことになります。
【共有物分割訴訟】
上記の共有名義の売買が成立しなかった場合は、落札者が共有物分割訴訟を起こすことが考えられます。
共有物分割請求は、裁判所を通して共有状態を解消するために適切な分割方法を裁定してもらう訴訟です。
共有物が不動産であれば物理的に分割する事は不可能なので競売で不動産を換金化して売却価格を持分をもとに分配されます。
市場価格の3,000万円が競売で2,400万円で落札されたら1,200万円ずつ分配されて新たな落札者の所有不動産になります。
旧落札者は900万円で取得しているので300万円の利益が得られることになるため最低限の利益は確保したことになります。
【まとめ】
不動産の共有持分に差押えをされて競売で落札されるという可能性はあります。
持分全部所有の不動産の競売と比較すると他の共有名義人にとっては経済的にも精神的に疲弊する事は確かです。
市街地や好立地の不動産の共有名義は高額取引されているケースもありますので、決して競売で落札されないという事はありません。