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市街化調整区域の農地を売却するには時間が掛かる理由をお話をします。

近年、市街化調整区域の農業振興地域内農用地区域内の農地(青地)の売却のご相談を多く頂きます。市街化調整区域の農地を売却する場合、一般的な不動産売却と比べて手間と時間がかかることがあります。その主な理由を分かりやすく解説します。

1. 農業振興地域と農地の区分

市街化調整区域の農地は、多くの場合、農業振興地域内に含まれています。

この地域は農地を守り、農業の振興を目的としているため、農地の売却や転用が厳しく規制されています。

以下では、青地・白と農地区分の説明をしますので、ご参照下さい。

青地(農業振興地域内農用区域内農地)

市街化調整区域の農地で青地と呼ばれている農地があります。

青地は農業振興地域内農用区域内農地として、今後10年以上にわたり農業利用を確保するために農地以外の利用を厳しく制限されている農地です。

この青地を農地以外で利用するには、農振除外の手続きをしなければなりませんが、この手続きをクリアするには様々な要件を満たさなければなりません。

又、要件を満たせる農地だとしても農業振興地域内農用区域内農地ではなくする除外申請をしなければなりませんが、その申請受け付けるのが多くの自治体が年2回としていることや申請の結果で出るまで半年から1年掛かるため、非常に多くの時間を要することになります。因みに、農振除外ができたあとに農地転用の許可申請を行わなければなりません。

白地(農業振興地域外農用区域内農地)

白地は青地よりも規制は緩やかですが、農地転用の許可申請は必要となります。

白地の農地を売却する際には、農振除外の必要がないと言っても農地区分を確認する必要があります。

農地区分とは

農地区分とは、農地の位置、条件、都市環境等により5種類の農地区分に分けられます。

農地区分は甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地に区分けされ、甲種と第1種は原則的に農地転用はできません。第2種農地は代替地が無いと認められる状況のときは農地転用が許可され、第3種農地は市街化に近い地域にあるの農地で転用許可は原則可です。

2. 農振j除外・農地転用には時間がかかる

農地を農地以外の用途(宅地や駐車場など)に利用するには、農地転用許可を取得しなければなりません。

この手続きには以下のステップが含まれ、数カ月から1年以上かかることがあります。

農業振興地域からの除外申請

農地が青地に該当する場合、まずその土地を農業振興地域から外すための申請が必要です。この除外申請は自治体ごとに異なりますが、審査に時間がかかることが一般的です。

一般的には、年間で2回の申請を受け付ける時期があり、その申請を受け付けられても半年から1年の時間を要して申請の結果がでます。

農地転用許可申請

農業委員会や都道府県知事の許可が必要です。

青地の農地の場合は、申請手続きの半年から1年間の時間を要してから農地転用の手続きをします。

農地転用については6週間から2カ月の時間が必要ですので、市街化調整区域の農地の売却活動を始めて契約から決済・引渡しまでかなりの時間を要することが分かりますよね。

3. 購入できる人が制限される

農地法により、市街化調整区域の農地を農地として購入できるのは原則として農業従事者に限られます。

そのため、以下の条件を満たす買い手を見つける必要があります。

農業経営を行う意志と能力がある人
〇一定の農地面積を確保できる人

都市計画法第34条12号区域として、農地を購入して専用住宅を建築する場合において購入する方の親族要件があるので、「誰でも建築できる」不動産ではないので、買い手を探すにも時間が掛かります。

市街化調整区域の農地は需要がない

近年、農業を継続することが困難な状況になっている日本にとっては、市街化調整区域の農地を積極的に購入しようという方は個人・法人共に極めて少なく、農地転用が極めて難しい農地を売却することは極めて困難です。

市街化調整区域の農地売却は根気強く待つ

前述したように市街化調整区域の農地を売却するには、かなりの時間を要します。

「売却しようと」と思い立って、1~2カ月で売却が終わる可能性は非常に低い、というより不可能に近いことです。

市街化調整区域の農地を売却する時は、売却を依頼した不動産会社を信用して「根気強く待つ」しかありません。

まとめ

市街化調整区域の農地を売却するには、農振法や農地法による制限をしっかり理解し、適切な手続きを踏む必要があります。

その手続きは時間と手間もかかりますし、市街化調整区域の農地売却は需要やタイミングによっては長期間を要します。

市街化調整区域の農地を売却する際には、農業振興地域・農地区分等をしっかりと把握して売却活動をしてくれる不動産会社に依頼をしましょう。

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