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【不動産売却】所有者からも「売却できない」と言われた不動産を売却したお話をします

今回は「所有者からも「売却できない」と言われた不動産を売却したお話をします」のお話です。

初めにお伝えしておきますが相場価格よりも高く売却したようなお話ではありませんので、そのようなお話を期待された方はスルーして下さい。

私が30代の頃から携わっている不動産取引において難しいと感じるのは権利関係の調整と占有者の退去の問題が起きている不動産です。

約10年前に、所有者の方から売却相談を受けた物件は、権利関係と占有者の問題を抱えている物件でした。

所有者様との面談時には、その物件は関西や関東に支店がある任意売却専門の不動産会社が専任媒介で販売中の物件でした。

先ずは権利関係のお話をしますと、土地・建物に5番抵当まで設定されていて15年以上前から抵当権・根抵当権を設定しては解除されを繰り返し登記簿謄本は7~8ページにもなっていました。

物件自体は個人所有でしたが、会社を経営していたので自宅を担保に運転資金の借入をして抵当権・根抵当権の設定・解除を繰り返している状況でした。

私が所有者の方から相談を受けた時には、後順位抵当権者(以下、A社)から差押えをされて競売まで6~7ヶ月の時間しかありませんでした。

所有者の方の個人・法人名義合わせての債務状況は2億円以上あり、自宅を売却しても1億円前後は残ってしまうことは確実でした。

そのような債務状況でA社からの差押えはトラブルに拍車をかける状態でした。

A社は後順位の抵当権者で差押・競売の申立てをしても債権回収ができない事は明らかでした。

それでも差押・競売を申立てをしてきたことは、所有者にとっては嫌がらせにしか感じられず両者の関係性は最悪の状態でした。

占有者の問題は、所有者の親族が売却に反対?・抵抗をして占有している状況でした。所有者と同居しているのに占有状態になっていて、仮に売買契約が成立して引渡しになっても占有状態が解消できない恐れがありました。

初めての面談時に所有者の方からは「今、売却を依頼している不動産業者でさえお手上げ状態だから、あなたも多分売却する事は無理だよ。それなりの任意売却専門の会社も無理なんだから無理だろう」と言われました。

所有者から「売却は無理だろう」と言われたら、不動産業者として俄然気合いが入った変わり者の私は「今の専任業者との媒介契約が切れたら契約して下さい。絶対に売却してみせますから」と言って面談を終わりにしました。

後日、所有者の方からご連絡を頂き媒介契約を締結して売却活動を始めました。

本来の不動産の売却活動とは全く違いA社の代理人との交渉と占有者の親族との協議がメインで売却先を探す事は二の次の売却活動でした。

A社の代理人は弁護士ということもあり提出する書類を作成するにあたって、明確な根拠を求められるため様々な協力者から情報提供を得て書類を完成しました。

およそ1ヶ月掛けてA社の代理人から配分表の同意を得て任意売却の準備はできました。ここで任意売却をご存じの方は気が付くかもしれませんが、前専任業者は各債権者に配分表の内容や抵当権の抹消応諾額を提案せずに了承も得ないで任意売却の活動を開始していました。

任意売却では、通常の売却と違ってステークホルダーとの協議が大切であって、その事を怠ると任意売却自体ができなくなる可能性がありますので注意して下さい。

参考ブログ→最初が肝心です。それは任意売却も同様です

親族である占有者との交渉は大変難航しました。

50代の占有者は姿形は大人ですが交渉をしてみると子供同然の幼稚性を持ち合わせていたので、真面な話合いはできずに時間ばかり過ぎていきました。

最終的には、提携法律事務所のサポートを得て法的措置をとって退去をさせました。

ここまで辿り着ければ任意売却としての活動をして売買契約・引渡しをして取引成立させました。

あれ?差押・競売はどうしたの?と思われるかもしれませんが、後順位抵当権者からの競売申立てだったので無剰余取消となり任意売却に集中することができたので、最初の面談から7ヶ月掛けることができました。

こうして所有者からも「絶対に売却できない不動産」と言われた不動産を売却することができました。

任意売却以外でも権利関係の調整が難しく売却することが困難になるケースがあります。

差押・仮差押等以外にも、底地・借地の取引や道路後退をしなければ売却できない不動産取引・共有名義・相続不動産等の権利関係が複雑な不動産取引は権利調整は多くの時間を要します。

このような不動産売却は根気と忍耐を要しますので、早めに相談しないと手に負えないことにもなり兼ねます。

不動産売却と言っても、「高く」「早く」売却することだけでなく交渉・協議・権利調整等が必要な場合があります。

このような案件を取り扱う不動産会社は限られていますので相談・依頼する不動産会社の見極めは慎重に行ってください。

抵当権の後順位者からの差押が問題の理由

一般的に

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