実家がゴミ屋敷になりかけている？帰省時に注意して下さい

人は高齢になると、身体的な疲労から掃除や整理が億劫になりがちです。

また、慢性的な関節痛や腰痛が原因で、重いものを運んだり掃除機をかけるのが難しくなることも多いです。

結果として、部屋の片付けが後回しにされ徐々に物が溜まっていきます。

認知症を患うと、片付けの優先順位や物の必要性を判断する力が低下します。

「後で片付けよう」と思いながら忘れてしまったり、不要なものを「まだ使える」と捨てられなくなったりします。

また、同じ物を何度も買い足すことで物が増え、ゴミ屋敷化が進むケースも少なくありません。

うつ病や不安障害といった精神的な疾患を抱えている場合、片付けが精神的負担となることもあります。

また、配偶者の死別や孤立感により家の中が荒れ始めることも、ゴミ屋敷化の一因です。

高齢者や一人暮らしの人は、周囲との交流が減り孤独感が強くなりがちです。

この孤独感が「物を持つことで安心する」心理を引き起こし、必要以上に物を溜め込む原因となります。

特に独居老人の場合、家族や近隣住民との関わりが希薄になることで、誰からも指摘されず気付けばゴミ屋敷状態になってしまうことがあります。

「まだ使えるかもしれない」「いつか役立つかもしれない」といった感覚で、物を捨てられない性格の人もゴミ屋敷化しやすい傾向があります。

これは、いわゆる「ためこみ症（ホーディング障害）」と呼ばれることもあり、物への執着が強すぎて処分ができなくなります。

こうした性格の人にとって、捨てることは大きなストレスとなり、片付けの優先順位が後回しになってしまうのです。

高齢になると、日常的な掃除や整理整頓が負担になり、結果として家が荒れてしまうことがあります。

物が積み重なっていく中で、掃除を始めるきっかけを見つけられず、「あとでやろう」が積み重なり先延ばしを続けるうちに手がつけられなくなるケースも多くあります。

認知症や精神的な疾患が進行すると、物の管理や片付けの判断が難しくなります。

「捨てるべきもの」と「必要なもの」の区別がつかなくなり、不要なものまで溜め込んでしまうことがゴミ屋敷の大きな原因です。

また、判断力が低下することで「片付ける必要がある」と認識できなくなることもあります。

「自分の家のことは自分で何とかしたい」と思い、他人に頼ることを拒む心理も、ゴミ屋敷化の要因になります。

特にプライドが高く人に迷惑をかけたくないと考える人は、家族や友人に助けを求められず、一人で問題を抱え込んでしまいます。

さらに、「家の中を見られたくない」という羞恥心も手伝い、外部の支援が入るタイミングを逃してしまうことが多いです。

帰省した実家の部屋の床が見えないほど物が積まれていたり、日常生活に必要なスペースが確保できていない場合は注意が必要です。

特に寝室や浴室・台所といった重要な場所が物で塞がれていないかを確認しましょう。

冷蔵庫や食品棚に賞味期限切れの食品が溜まっていないか確認することも重要です。

腐った食品が放置されていたり、同じような物を必要以上にあると認知症になっている可能性もあり、結果的にゴミ屋敷化になるきっかけと言えます。

親の健康状態もゴミ屋敷化の進行を予測する上で重要です。

掃除や片付けを行う気力や体力がない状態であれば、サポートが必要です。

薬の飲み忘れや通院の遅れがないかも確認しましょう。

定期的に実家を訪れることで、生活の様子を把握できます。

実家が遠方で頻繁に行くことが難しい場合は、電話での連絡を心がけ、「家の様子はどう？」と具体的に質問するのも効果的です。

片付けが困難になっている場合は、専門の清掃業者に依頼することも考慮しましょう。

また、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談し、介護サービスやヘルパーを利用するのも一つの手です。

親族の認知症が疑われる場合は、早めに医師の診断を受けることが重要です。

認知症の進行を抑える薬やリハビリテーションを通じて、生活の質を向上させることができます。

「少しずつ」「一緒に」という心構えで片付けを進めましょう。

高齢の親が片付けを拒む場合もあるため、無理に捨てさせるのではなく、必要なものと不要なものを一緒に整理するスタンスが大切です。

ゴミ屋敷化が進むと、悪臭や虫の発生により近隣住民とのトラブルになる可能性があります。

行政から指導や改善命令を受けることもあり、最悪の場合は訴訟に発展するケースもあります。

ゴミが家の中に溜まると、火災の原因にもなり得ます。

また、足元が不安定になることで転倒事故が起きやすくなり、高齢者の怪我のリスクが高まります。

もし親が認知症を患っている場合、財産管理が適切に行われていない可能性もあります。

遺言書の確認や、成年後見制度の活用も視野に入れておきましょう。

ゴミ屋敷の片付けを始めるベストなタイミングは、親の生活環境に何らかの変化があったときです。

例えば、以下のような時期が有効です：

● 季節の変わり目（衣替えを機に）

● 親の誕生日や正月（心機一転のきっかけを利用する）

● 入院や施設入所が検討される時（今後の生活を考えて片付けを促す）

変化のあるタイミングでは、親も「何かを変えなければ」という心理が働きやすく、説得がしやすくなります。

親が生活の中で頻繁に使う場所や私物をいきなり整理するのは逆効果です。

まずは、共用スペースや目につきにくい場所から片付けを始めると抵抗を減らせます。

● 玄関や廊下、物置き部屋などは比較的片付けやすい場所です。

● 少しずつ成果を見せることで、親の協力を得やすくなります。

この方法により、「捨てることが怖い」という心理的なハードルを下げる効果も期待できます。

親を説得するときに大切なのは、決して「何でこんなに汚したの？」などと責めないことです。

否定されると防衛本能が働き、かえって片付けへの抵抗感が強まる恐れがあります。

● 「なぜこれが必要なのか教えてくれる？」と質問する形で理解を示す。

● 「一緒に整理して使いやすくしておこう」といった前向きな言葉を使う。

親にとって、物は思い出や安心の象徴であることも多いため、感情的な側面に配慮しながら進めることが重要です。

親の健康や安全を守るためにも、ゴミ屋敷のリスクを具体的に伝えることが効果的です。

特に、高齢者は病気や事故のリスクが高まるため、その危険性を丁寧に説明しましょう。

● 健康リスク：ホコリやカビが呼吸器疾患やアレルギーを引き起こす。

● 転倒リスク：床に物が散乱していると転倒の危険が増加する。

● 火災リスク：ゴミや古紙が可燃物となり、火災の危険性が高まる。

これらのリスクを伝える際には、「片付けをすることで病気や怪我の心配が減る」というプラスの効果を強調し、納得してもらえるよう心がけましょう。

親が亡くなった後、相続が発生するタイミングでゴミ屋敷状態の実家をどうするかは大きな課題となります。

相続人が複数いる場合、清掃費用を誰が負担するかや、片付けの役割分担を巡ってトラブルになることもあります。

もし実家の片付けが困難であり、負債を抱えた不動産であれば、相続放棄を検討することもあります。

ただし、相続放棄の期限は「相続開始を知った日から3ヶ月以内」であり、早急な判断が求められます。

親が認知症でゴミ屋敷化が進んでいる場合、相続前に成年後見制度を利用し、財産管理者を立てることも選択肢です。

これにより、清掃費用や売却手続きがスムーズに進む可能性があります。