不動産競売の開札後から強制立ち退きまでの流れを解説します

競売で不動産が落札されると、落札者（新しい所有者）は裁判所から「売却許可決定」を受けます。

この決定は、裁判所が落札者に対して正式に不動産を取得することを認めるものです。

●売却許可決定の確定：通常、売却許可決定の通知が送達されてから約1週間で確定します。

●代金納付の期限：売却許可決定が確定すると、裁判所から落札者に対して代金納付の期限が通知されます。通常、通知から1ヶ月以内に全額を納付する必要があります。

落札者が代金を納付すると、以下の手続きが進みます。

●所有権移転登記：裁判所から所有権移転登記の嘱託が行われ、不動産の名義が落札者に変更されます。（所要期間：約2週間）

●引渡命令の申立て：元の所有者や占有者が任意に退去しない場合、落札者は裁判所に「引渡命令」を申し立てることができます。（所要期間：約1週間）

●引渡命令の発令：裁判所が引渡命令を発令すると、元の所有者や占有者に対して「一定期限内に退去するように」という命令が出されます。（所要期間：約1週間）

●執行文の付与と送達：引渡命令には執行力があるため、これに基づいて強制執行の手続きが可能になります。

元の所有者や占有者が引渡命令を無視して物件から退去しない場合、落札者は裁判所に「強制執行」の申立てを行います。

●強制執行の申立て：落札者は地方裁判所の執行官に強制執行を依頼します。申し立てから執行までの期間は、通常1〜2ヶ月程度かかります。

●催告の通知：執行官が現地を訪れ、退去期限を記載した催告書を貼り出します。この時点で退去しない場合、執行日が指定されます。

元の所有者や占有者が催告期間を過ぎても物件から退去しない場合、いよいよ強制執行が行われます。

●執行官による退去措置：執行官が鍵を開けて室内に立ち入り、占有者を退去させます。

●家財道具の撤去：家具や荷物は運び出され、一定期間保管された後、処分されることもあります。

●最終的な引き渡し：物件は落札者に正式に引き渡され、占有者は住むことができなくなります。

強制執行による家財道具の運送費用や保管費用は、債務者に請求されますが支払能力がない場合には債権者が立て替えることになります。

しかし、最終的には債権者から債務者に請求されることになります。

強制執行は占有者にとって非常に厳しい措置です。以下の方法で事前に回避することも可能です。

●自主的な退去交渉：落札者と交渉し、引っ越し費用の負担（立退料）を求めることもできます。

●任意売却の検討：競売前に任意売却を選択すれば、強制執行を避けることができます。

●裁判所への申し立て：事情がある場合、引渡し猶予を求める申し立ても可能です。

強制執行をされる状況は最悪の状況です。

一時的に家財道具が保管される費用や、更には保管先から回収する費用を負担するのは債務者となります。

その状況を避けるためには、任意売却で自らが不動産売却をすることや競売になったとしても早めに退去の準備をして、通常通りの引越しをすることをお勧めします。

競売の落札後から強制立ち退きまでの流れは、①売却許可決定の確定（約1ヶ月）、②代金納付と所有権移転（約2週間）、③引渡命令の発令（約2週間）、④強制執行の申立て（約1〜2ヶ月）、⑤強制退去の実施（約1週間）というステップを踏みます。

無理に占有をしていると強制執行は避けられない場合が多いため、早めに対策を講じることが重要です。

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