古家・訳あり不動産
不動産売却・市街化調整区域
市街化調整区域の不動産売却。敷地の半分が農地?売却できるの?
上尾市のO様からのご相談です
CASE STUDY ご相談内容
O様は、他界したお父様の実家を相続されました。
O様も同居されていたので不動産の状況を把握していましたが、売却するとなるとどうしたものかと考えてしまったそうです。
O様の相続された不動産は、市街化調整区域内で土地の面積が約100坪あり半分の50坪が宅地で残りの50坪は地目が畑の農地でした。
市街化区域内であれば農地転用の届出を農業委員会に提出すれば何の問題もなく宅地に地目変更ができて、状況によっては分割して50坪ずつで売却できるくらいの土地ですが、市街化調整区域の半分が農地の土地を売却するとなると・・・。
市街化調整区域の不動産とはいえ、宅地の50坪は需要があり売却する事は難しくありませんが残りの50坪について私道に接道していて出入りはできるのですが持分を持っていないので評価は著しく低くなります。
O様としては全て売却してスッキリしたいという気持ちが強く、農地も売却たいと希望していました。
役所調査とヒアリング
弊社としては、農地とはいえ50年近く宅地のような状況で耕作していた経歴もない事とO様からの聞き取りで亡くなられたお父様が役所で手続きをしていた記憶があるとの事でしたので役所での調査をしました。
市街化調整区域の農地の売却ですので農業委員会で確認をして開発指導課へ。開発指導課で確認をしていたら開発許可の経歴があるという事が判明したので、改めて農業委員会に出向いて確認をしたら農地転用の許可の履歴が判明しました。
O様の亡くなられたお父様が役所で手続きをしていたのは農地転用の許可だったのです。
即日、O様に農地転用の許可の書類が手元に無いかを確認したら40年前の書類がありました。
売却計画の提案
農地転用許可の書類を確認してから、地目変更の専門家である土地家屋調査士の先生に相談をして畑から宅地の地目変更の可能性を確認をしました。
当初、先生は難色を示しましたが「やるだけの事はやってみましょう」と言って頂けました。
弊社からの売却計画の提案は下記のような内容でした。
・土地家屋調査士が40年前の農地転用許可を基に宅地に地目変更をする
・地目変更は現況主義なので農地ではなく宅地として使用してるように整備をする
・地目変更が成功したら100坪の宅地として売却活動をする
単純な売却計画ですが、土地家屋調査士の先生からは「この地目変更ができたら奇跡ですからね」と言われながら計画を実行する事になりました。
結果は、なんと奇跡が起こり宅地に地目変更ができました。
売却価格にしても手続きや期間の面でも農地のままの売却とは天と地の差があります。
ご相談頂いてから約2か月の準備期間を経て売却活動を開始して、約4ヶ月で売買契約をしてお引渡しができました。
まとめ
今回の不動産売却の成功については、いくつかの要因があります。
1つは所有者様が40年前の農地転用許可の書類を保管していた事です。
所有者様によっては権利書を無くしてしまう事もあるのに農地転用の許可の書類を保管していた事が地目変更ができた1つの要因でしょう。
とはいえ、農地転用許可の内容も大切なので、過去に一概に農地転用をしているからといって地目変更ができるとは言えません。
もう1つは、地目変更するにあたって大切なのは現況主義が重要視されます。
本件で例えれば、地目が畑の不動産を宅地に変更しようとして農地転用の許可があったとしても現況が畑であれば地目変更は難しくなります。
宅地に変更しようとする場合は、農地として耕作をしていないかは重要となります。
※市街化調整区域の農地であっても都市計画法第34条11号・12号の区域であれば制限内の建物を建築する際は宅地に変更する事はできます。
このように市街化調整区域の不動産を売却する時は、登記簿謄本だけで判断はせずに役所調査を繰り返して所有者様が保管している書類を確認して時間を掛けてでも売却しやすい状況にできるかが売却できるか否かのカギとなります。