今回は「競売の取下げと取消しの違い」のお話です。
不動産が競売を申し立てられた方は、「取下げ」と「取消し」の違いを知っておいてください。
住宅ローンや事業融資の返済ができずに金融機関等の債権者から不動産を差押えられ競売を申し立てられると、どうにもならなくて競売で不動産を処分されるまで待つしかないのか不安になりますよね。
競売を申し立てられると、どうにか取下げられないかと考える方もいると思います。
実際は、競売開始決定された後でも入札が開始された後でも売却代金が納付されるまでは取下げする事はできます。
極端な話をしますと、売却が実施された後でも取下はできますが、最高価格買受人と次順位買受人の同意が必要となりますので、現実的には期間入札の開札の前日までに取下げする事が確実に取下げすることができるでしょう。
※因みに代金が納付された場合は取下げする事はできません。
それでは競売を取下げるには、どのような方法かを説明します。
不動産競売とは
不動産競売は、債務者が債務不履行があった場合に債権者が裁判所に差押・競売を申立てて強制的に不動産を売却し換金化する法的措置です。
競売を取り下げすることはできる?
不動産が差押えられて競売を申立てられると諦めてしまう人もいるようですが、競売は申し立てられた後でも取下げることはできます。
不動産競売を取り下げるには、債権者と債務者が協議をして条件が合えば債権者が裁判所に競売の取下げの書面を提出すれば競売は実行されることはありません。
不動産競売を取り下げるには、債権者と債務者が協議をして条件が合えば債権者が裁判所に競売の取下げの書面を提出すれば競売は実行されることはありません。
競売を取り下げる方法
先ずは、競売の取下げについては申立人(債権者)の意思が必要です。債権者が競売の取下げを承諾し裁判所に取下書を提出して競売は取下げられます。
このように書くと簡単に競売の取下げできるのかと思われますが簡単ではありません。債権者が競売の取下げを承諾するには下記の条件が必須になります。
このように書くと簡単に競売の取下げできるのかと思われますが簡単ではありません。債権者が競売の取下げを承諾するには下記の条件が必須になります。
債権者から請求されている債権額を一括返済
1つ目は、請求されている金額を全額一括返済する事です。
しかし、住宅ローンや事業融資の分割での返済が厳しくなって差押・競売を申し立てられているのに全額一括返済は現実的には非常に困難です。
請求される債権額の内訳は、住宅ローンの滞納による不動産競売を例にすると下記のようになります。
●住宅ローンの残債額全額
●滞納時からの遅延損害金
●競売を申し立てる際の予納金等の経費
これらを全額返済することができれば競売は取下げる事ができます。
しかし、住宅ローンや事業融資の分割での返済が厳しくなって差押・競売を申し立てられているのに全額一括返済は現実的には非常に困難です。
請求される債権額の内訳は、住宅ローンの滞納による不動産競売を例にすると下記のようになります。
●住宅ローンの残債額全額
●滞納時からの遅延損害金
●競売を申し立てる際の予納金等の経費
これらを全額返済することができれば競売は取下げる事ができます。
任意売却をして競売を取り下げる
2つ目は、任意売却による取下げです。不動産を売却してしまう事には変わりませんが競売よりも有利な条件で売却できるのが任意売却です。
通常であれば全額一括返済での競売取下げが条件になるのですが、任意売却は債権者と協議して抵当権を抹消する応諾額で売却が成立すれば全額一括返済でなくても競売の取下げができます。
通常であれば全額一括返済での競売取下げが条件になるのですが、任意売却は債権者と協議して抵当権を抹消する応諾額で売却が成立すれば全額一括返済でなくても競売の取下げができます。
競売の取消しとは
競売の取下げと勘違いされがちなのが競売の取消です。
競売が取消になるのは「無剰余による取消し」「競売不成立による取消し」です。
前記の2つの取消しについて説明します。
競売が取消になるのは「無剰余による取消し」「競売不成立による取消し」です。
前記の2つの取消しについて説明します。
無剰余による取消し
競売は、後順位抵当権者(3番抵当権者など)にも債権回収を目的に裁判所に申し立てる権利があります。
しかし、申立人の後順位抵当権者であっても優先的に回収する権利は1番抵当権者です。
例えば、競売で売却できる金額が3,000万円だとします。
優先的に回収できる1番抵当権者の債務額が3,500万円であると申立人の後順位抵当権者には1円も配当がありません。
このような状況を【無剰余】といって裁判所に却下されます。
債権回収ができないのに、競売を申し立てる事は権利の濫用となり任意売却や担保消滅請求の邪魔を防止するために競売自体が取消となるわけです。
簡単に言えば、「意味の無い無駄な競売申し立てはやめなさい」という事ですね。
しかし、申立人の後順位抵当権者であっても優先的に回収する権利は1番抵当権者です。
例えば、競売で売却できる金額が3,000万円だとします。
優先的に回収できる1番抵当権者の債務額が3,500万円であると申立人の後順位抵当権者には1円も配当がありません。
このような状況を【無剰余】といって裁判所に却下されます。
債権回収ができないのに、競売を申し立てる事は権利の濫用となり任意売却や担保消滅請求の邪魔を防止するために競売自体が取消となるわけです。
簡単に言えば、「意味の無い無駄な競売申し立てはやめなさい」という事ですね。
競売の無剰余取消しを経験したことがあります
私は任意売却の依頼を受けていて競売の無剰余取消は1度だけ経験しています。
3番抵当権者が無理を承知に代理人(弁護士)を通じて競売の申し立てをしましたが、裁判所によって無剰余取消となってしまいました。
しかし、競売が取消となっても各債権者が債権回収を諦めるわけではないですし、債務者の返済義務が無くなるわけではありませので任意売却での処分となりました。
3番抵当権者が無理を承知に代理人(弁護士)を通じて競売の申し立てをしましたが、裁判所によって無剰余取消となってしまいました。
しかし、競売が取消となっても各債権者が債権回収を諦めるわけではないですし、債務者の返済義務が無くなるわけではありませので任意売却での処分となりました。
競売不成立による取消し
不動産が差押えられて競売を申し立てられても必ず競売が成立して売却できるとは限りません。
1回目の競売が不成立になると、一定の期間を空けて売却基準価格を2~3割下げて特別売却を実施します。
1回目の競売は「期間入札」といって2週間の入札期間を設けて一番高い金額で入札・落札した者が買受人になりますが、特別売却については早い者勝ちとなります。
2回目の特別売却でも競売が不成立になると3回目の競売が実施されますが、3回目も不成立になると競売は取消となります。
1回目の競売が不成立になると、一定の期間を空けて売却基準価格を2~3割下げて特別売却を実施します。
1回目の競売は「期間入札」といって2週間の入札期間を設けて一番高い金額で入札・落札した者が買受人になりますが、特別売却については早い者勝ちとなります。
2回目の特別売却でも競売が不成立になると3回目の競売が実施されますが、3回目も不成立になると競売は取消となります。
競売が取消しになると所有権は、どうなるの?返済義務は?
不動産の競売が不成立になり取消しになると所有権は移転せずに、不動産についても使用・居住し続けることができるようになります。
ここで勘違いしてはいけないのは債務返済の義務が取消しになったのではないので、債権者と残った債務の返済計画を協議しなければなりません。
債権者は、債権回収を諦めたわけではないので不動産競売以外での回収を行いますので、給与の差押え等が行われることになりますので注意しましょう。
ここで勘違いしてはいけないのは債務返済の義務が取消しになったのではないので、債権者と残った債務の返済計画を協議しなければなりません。
債権者は、債権回収を諦めたわけではないので不動産競売以外での回収を行いますので、給与の差押え等が行われることになりますので注意しましょう。
まとめ
このように、競売の取下げと取消しは全く違うものです。
競売の取下げについては、勘違いされがちなのが複数のトラブルを抱えていたり、競売によって不動産処分しても債務が残ってしまった方が裁判所からの取下げの書面を見て「全て終わった」「一件落着」と思ってしまいがちですが、不動産の競売には1つの案件を事件番号で管理されているので事件番号ごとに取下げの書面が出るのであって他の案件は引き続き法的措置が取られる可能性もありますし、競売で債務が残ったら返済義務も残りますの一件落着と思わないで下さい。
競売を取り下げるには、任意売却での取下げが現実的ですので、競売を取り下げたいと思う方は早めに専門的な知識を持った不動産会社に依頼をしましょう。
競売の取下げについては、勘違いされがちなのが複数のトラブルを抱えていたり、競売によって不動産処分しても債務が残ってしまった方が裁判所からの取下げの書面を見て「全て終わった」「一件落着」と思ってしまいがちですが、不動産の競売には1つの案件を事件番号で管理されているので事件番号ごとに取下げの書面が出るのであって他の案件は引き続き法的措置が取られる可能性もありますし、競売で債務が残ったら返済義務も残りますの一件落着と思わないで下さい。
競売を取り下げるには、任意売却での取下げが現実的ですので、競売を取り下げたいと思う方は早めに専門的な知識を持った不動産会社に依頼をしましょう。